計算機の歴史1

これから扱う「マイコン」とは,「マイクロコンピュータ」または「マイクロコントローラ」を略して「マイコン」と呼んでいる.「マイコン」と一言聞いても「マイクロコンピュータ」と「マイクロコントローラ」のどちらを意味するかはメーカや使っている場所,そのマイコンの役割によって異なる.そのマイコンがLEDやスイッチなどを制御するのであればそのマイコンは「マイクロコントローラ」と呼ばれるものなのかもしれない.しかし,そのマイコンが他の多くのマイコンと通信しながら制御を行う,または,パソコンと通信する機能も搭載しているものならば,それは,「マイクロコンピュータ」と呼ばれるかもしれない.

しかし,どちらも内部は論理回路で構成されており,ユーザのプログラムによって動作することに間違いはなく,コンピュータと同じ原理で動作する.そこで,本ページでは,マイコンはコンピュータの一種であると見なし,「マイコン」という言葉は,「マイクロコンピュータ」を意味すると定義して説明をすすめる.

マイコンは「マイクロな命令をもつ」「コンピュータ」という意味である.つまり,マイコンの歴史を学習するということは,元をたどればコンピュータの歴史を学習することと同じことになる.

「コンピュータ」という言葉でさえ,昔は使われておらず,「計算機」と呼ばれていた.現代でも電子式卓上計算機(電卓)というものがあるが,計算機とは,まさに,今の電卓をイメージすればよい.計算機とコンピュータの違いは,複雑な計算が行えるか否かである.コンピュータを創造する前に人々は,手で計算することを機械で行えないかと考え,計算機を創造した.その計算機をさらに進化させたのはプログラムなのである.単に加算のみあるいは加算を利用した演算を行うものは,単なる計算機であるが,プログラムにより単純な四則演算だけでなく,より複雑なことが可能となった計算機をコンピュータと呼ぶ.

現代のコンピュータ,例えば西暦2000年発売のコンピュータと西暦1980年に発売されたコンピュータにどのような共通点があって,どのような違いがあるのかを挙げる.

共通点

  • 電気で動く
  • 円盤状の記憶媒体がある(FDD,HDDなど)
  • 電源投入後起動画面になる
  • 表示できる

異なる点

  • 今の方が処理速度が早い
  • 今の方が小型
  • 今の方が安い
  • ネットワークに接続できる
  • ・・・・

今の方が昔に比べてよくなっているのは当たり前であるが,昔との共通点はかわらない.最近では,SSDメモリやフラッシュメモリなどが登場し,円盤状の記憶媒体以外のものも存在するが,基本的にHDDであるので,円盤状の記憶媒体であると言える.これについては後でまた説明する.

それでは,まず,電子式と機械式計算機について説明する.


電子式?機械式?計算機の誕生

現代のコンピュータが登場する以前の計算機と呼ばれていた時代のコンピュータは,電気を使わなかったか?と聞かれれば答えは「イエス」である.現代のコンピュータの内部は電圧や電流と言った電子の世界で通信(情報のやり取り)を行っている.

昔の計算機と呼ばれた時代は,手回し式やゼンマイ仕掛けで動くものが存在していた.そして,情報の伝達には歯車を用いた機械式の計算機が存在していた.それをチャールズ・バベッジのコンピュータ(バベッジズコンピュータ)と呼ぶ.

コンピュータの起源は?と聞かれたとき,一番困るのが電子式か?機械式か?のどちらをコンピュータとして認めているかである.話をしている相手が電子式の計算機をコンピュータと呼ぶのであれば,このチャールズ・バベッジのコンピュータはコンピュータの起源ではない.しかし,機械式も含めると考えれば,このバベッジのコンピュータが起源であるという人が多数意見である.

少数意見として,パスカルやダヴィンチの作った計算機が起源であると言う人もあるが,多くの人はチャールズ・バベッジのコンピュータが機械式のコンピュータがコンピュータの起源であると言うと思う.

さて,本ページでは,このチャールズ・バベッジが開発した機械式の計算機から,現代に溯りながら大雑把にこれまでに開発されたコンピュータの名称やそれに携わった主な人々を紹介するとともに,1971年に世界初のマイクロマイクロコンピュータが登場するまでを説明する.


チャールズ・バベッジ(Charles Babbage : 1791/12/26 – 1871/10/18)

チャールズは,南ロンドンで生まれ裕福な家庭で育った.幼い頃から機械に興味がある少年だったようである.10歳の時に病におかされ,回復後,健康を考え全寮制の学校に通うことになった.これが,チャールズの転機とも言える出来事となる.入学後,幾何学や代数学などの数学書で勉強し,数学の才能を開花させた.そして,1810年秋,ケンブリッジ大学のトリニティカレッジへ入学することとなった.数学者「チャールズ・バベッジ」の誕生である.1814年に大学を卒業し,その年の7月に結婚した.

1822年,イギリスの天文学会は,チャールズほか数名に数表の改訂作業を任せた.当時,数表はとても大切な役割を果たしており,航海の時や建物の建造の際に誤りのない数表が必要であった.この数表の改訂作業の中で,「チャールズは,同じ手順を繰り返すだけならそれを行う機械があればその方が確実で誤りが少ない」と感じ,後の「階差機関」と呼ばれる機械式計算機の設計を始めるきっかけとなった.

1824年,天文学会はこの「階差機関」の原理を発明したチャールズに第一号のゴールドメダルを授与し,イギリス政府は1,500ポンドの資金を階差機関の開発のために援助した.これがバベッジの計算機の開発の始まりであった.

多額の資金と時間を費やしたがチャールズの計算機は完成には至らなかった.精巧なホイールや歯車,すべてが当時の最高の技術で作らなければならず,資金が底をついたと言うのが未完成の原因という人もいるようであるが,実は,歯車などの部品を作る職人さんとの仲が悪く,作業が思ったように進まなかったという話もある.

チャールズ・バベッジのこの機械式の計算機を起源として,その後,約1世紀もの間計算機の開発に関する大きな歴史的な出来事はない.この先の1世紀はコンピュータの発展の歴史にとってある意味で空白の期間なのである.


より詳しく勉強したい方は,下記の文献を参照のこと.

  • チャールズ・バベッジ―コンピュータ時代の開拓者 (オックスフォード科学の肖像),ブルース コリアー (著), オーウェン ギンガリッチ (編集), Bruce Collier (原著), Owen Gingerich (原著), 須田 康子 (翻訳)
  • バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス) ,新戸 雅章 (著)
  • コンピュータ開発史―歴史の誤りをただす「最初の計算機」をたずねる旅,大駒 誠一 (著)
  • 誰がどうやってコンピュータを創ったのか?,星野 力 (著)

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